以前までは、心臓が悪くて移植以外に方法がないとなったときには、強心剤を点滴するか心臓の鼓動を補助する機械(補助人工心臓)を身体の外につける必要がありました。
そしてもちろん、ずっと入院していなければなりませんでした。

しかし、2011年から植え込み型の補助人工心臓が日本でも使用可能になりました。
今までと違って身体の中に植え込むことができる補助人工心臓です。
本来の心臓に代わって、ポンプの役割を果たします。

これの登場で、移植を待つ間もずっと入院しなければならないということではなくて、自宅に帰ったり、仕事をする選択肢を取ることができるようになりました。

植え込み型の補助人工心臓が持つリスクとは

確かに植え込み型の補助人工心臓で入院を免れることはあります。
ただし、それで心臓のリスクがなくなったわけではありません。
あくまで補助人工心臓はきちんとした心臓が移植されるまでの橋渡しをするためのものであるからです。

補助人工心臓をつけている間は、機械の間で血が固まりにくくするために、たくさんの薬を服用する必要があります。
その薬の作用によって、脳や胃、腸を始めとするあらゆる組織で出血のリスクが高まります。
機械に菌が付着する危険もあります。
そうなると命の危険も大きくなります。

植え込み型とはいえ、完全なセパレートではありません。
補助人工心臓へ電力を供給したり、ポンプの駆動をコントロールするためにお腹の脇から常にケーブルが延びています。
その影響で、湯船に浸かることはできず、毎日シャワーだけです。
ケーブルが出ている患部は、自分でしっかりと消毒しなければなりません。

もちろん、機械ですから誤作動やショートのリスクもゼロではありません。
何かの拍子で電力供給が遮断されたり、ポンプが異常な動作をすれば、それは命の危険につながります。

補助人工心臓の生活は移植までの綱渡り

このような大きなリスクが植え込み型補助人工心臓にはあるということを踏まえると、移植を待つまでの橋渡しとは到底呼べないことに気づかれるはずです。
そう、それはまさに綱渡りです。
そしてこの綱渡りは約4年にわたって続きます。
移植を希望する人に比して、臓器提供がとても少ないために、これだけの長い間耐えなければなりません。

植え込み型の補助人工心臓の登場によって、光明が差したように見えました。
しかし、それはまだまだ薄く細い光です。
今後、移植医療が発展していくにしたがって、より明るく太い光となるように、希望を持って待つことが大切になります。